『 THE MOOD 』

#下着再考

最も肌に近い場所に、毎日必ず身につける存在である下着。
その日に何を身につけるか、それ次第で気持ちはぐっと変化するもの。
誰にも知られず、こっそりと自分ひとりで。
世の中の幻みたいな定説ではなく、他人の目でもなく、
自分が何を心地よいのか、どんなものに心がときめくのか、
もう1度自問してみると、その日にどんな下着を身につけたいのか分かるはず。
ジュエリーのように気持ちが上がり、お守りのように気持ちが強く安らかになる。
下着がそんな存在でありますように。

Direction / Edit / Text : Maki Kakimoto

「男とか女とか」 Vol.7

「映画監督の話やウィルスミスなど色々あり、時代の流れ的なものも重なり、フェミニズムについて話す機会がとても増えた。そこは原爆や選挙、コロナなどと同じくらいに線引きや価値観が人それぞれ全く違う繊細な問題で、話す相手は限られる。
それは、同じ価値観の人としか話せないよねということとは違う。
自分の意見が世の正義かのように主張だけを続けるのではなく、人の意見もきちんと聞く姿勢を持ちながら議論できる人とだけ、そういう繊細なトピックは話すようにしてる。
私は43歳なので、ちょうど狭間の年齢なんじゃないかとしょっちゅう感じる。
マッチョイズムな風潮と、フラットな Z 世代?たちの狭間。
若い頃にカラオケでバイトしていた時、口髭でポマード七三の店長は「おはよーう」といつもお尻を明るく撫でてきていた。もはや日課。でもその店長の明るさや、ふざけていながらも面倒なお客さんが現れるとさっと現れてアルバイトたちより前に出て、時には土下座してでもその場を収める逞しさなどが好ましかったので、お尻を触られるなんて大して気にもなっていなかった。何の話だよ!?と思われそうですが、こんな話を今するときっと驚かれるんじゃないのかな。自分を通して、若い頃と今で世の価値観が急速に変わったということを感じることが多々。」

楽で涼しいカップインキャミソールはスポーティなものが大半。そういうものもたくさん持っているけれど、こんな風にチラッと見えても素敵なバックスタイルのものは珍しい。
背中の大胆なカッティングとレース、これならあえて見せてもいい...!
そしてカップや見頃がシルクコットンなので、着ていてとても心地よいんです。

「激動に変化してきた価値観をどれも知ることができているなんて、本当にラッキーだとよく思う。狭間万歳。
男女平等な世の中になったらいいともちろん願っているし、若い聡明な女の子たちが高くはないお給料で懸命に働いていて、高給な上司のおじさまたちに意味不明で的が外れた指示や横槍を入れられているという状況はまだまだとても多く、見かけるたびに嘆かわしいと同時に腹が立つことも多い。けれど一方で、男女は体格や特性が違うのだからそれぞれ向き不向きがあるとも思うし、男の人だけでなく、女の人が女性という性を使ってのしあがろうとする姿もたまに見るので、女性ばかりが被害者な訳ではないとも思ってる。セクハラやモラハラも、お互いの相性という場合もあったりするし。」

サニタリーショーツはだいたい急に “デカパン” 感となるのが不満だったところに救世主! ちゃんとセクシーで、パワーネットだから通気性も高い。
シルエットが響かないところもまた嬉しい。サニタリーの日だって好きな下着を色々選んで、楽しみたいものです。

「明確な事実と言えば、女性は毎月生理があるということと出産。それが負担となっていることは間違いない。出産はとても素晴らしい体験だけれど、
お腹が大きくなったり死ぬほど痛くなって産んだり、産んだ後も痛かったり、身体が産前産後で変わったり、仕事休んだり、夜寝れなかったり...なんで女ばかり!のオンパレード。産後老けたよなぁなんて言われたりしてね。知らんがな。産まないという決断をしても、そこには何か言ってくる人がまたいたり...。
こういう感じで話をしていると、フェミニズムについてもちろん明確な答えなんてない。結局、私は偏っていることや押し付けがましさがとても苦手で、しなやかでありたいし、しなやかな人と一緒にいたいという結論に至ることが多い。問題解決へと向かう手段や姿勢の方の話。
まずは、甘やかすのも満たすのも他人ではなく自分次第。自分を甘やかし満たして、それで生まれた余力によって好きな人たちも甘やかしていけたらいいなと思う。それぞれがそうしていけば、きっと世の中は変わっていくんじゃないかな。」

肌触りのよいオーガニックコットンは、履いていないかのような履き心地。ちょっと疲れているときによくこの下着を手にとっている気がします。縫い糸やゴムに残素材を使用しているという背景も、気持ちよさをさらに高めてくれます。高校生の娘にも早速買ってあげました。

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。