『 THE MOOD 』

#下着再考

最も肌に近い場所に、毎日必ず身につける存在である下着。
その日に何を身につけるか、それ次第で気持ちはぐっと変化するもの。
誰にも知られず、こっそりと自分ひとりで。
世の中の幻みたいな定説ではなく、他人の目でもなく、
自分が何を心地よいのか、どんなものに心がときめくのか、
もう1度自問してみると、その日にどんな下着を身につけたいのか分かるはず。
ジュエリーのように気持ちが上がり、お守りのように気持ちが強く安らかになる。
下着がそんな存在でありますように。

Direction / Edit / Text : Maki Kakimoto

「透けたくない」 Vol.4

「洋服を選んだ後に眼鏡やサングラスを選ぶことが多いけれど、どうしてもかけたい眼鏡が先にあって、それに合わせて洋服を決めるときもたまにあるんだよね」
インタビューでそう聞いたとき、「私にも似たシチュエーションあるなぁ」とぼんやり思った。
その時は分からなかったのだけれど、先日の朝、今だ!と思い出す。
「この下着が着たい」という欲求が先に現れて、それに合わせてスタイリングを考えることになったとき。その順番だと意外とすんなり決まる。
一方、その翌日は白いセットアップがどうしても着たかったので、それに合わせて下着を考えることに。透けた服が好きなのであえてインナーを透けさせることに慣れている私は、白セットアップを完璧に透けずに着たいという状況の方に意外と戸惑った。
「そう、透けてるんです!」と堂々と透けることと、「透けたくなかったのに微妙に見えている」は、同じ透けでも大きく違う。
下着ごときで大袈裟な...と笑われるかもしれないけれど、それは覚悟の違い。
隠していたつもりで透けているのはただのハプニングで、恥ずかしいし、もし「透けてないかな?」と少しでも不安があったら、その日は1日そわそわしてしまう。洋服、下着、どちらを先に決めてもいいけれど、「透けるのか透けないのか」(こんなホストの名言あったような)この部分も強い意志と覚悟を持って決め、確実に成し遂げたいものです。下着は気分を上げてくれると同時に、選んだ服をさらに美しくも見せてくれる。美と機能、どちらも備えた存在。それを前に、毎朝「今日はどの服、どの下着を着たい?」とともに、「透けたい?見せたくない?」と自分に問いかけてる。兎にも角にも女性はいつだって選択の連続。それがまた楽しいのだけれど。だから男性は、女性って用意が遅いよねとか呆れないで欲しい。選ぶ、決める楽しみがこちらには倍以上あるんです。焦るあまり「想定外透け」に陥っ たりしないよう、楽しみながら「選ぶ筋力」を育てていきたい。

「想定外透け」を防いでくれる3アイテム

「透けない=ベージュを選べばいい」伝説は間違ってはいないけれど、ルールがあることで楽しみは半減。どの部分を透けたくないのか、その日選んだ服によって違うもの。だからベージュを着ればいいわけではないんです。

「ショーツのバックスタイルが繊細な総レース。レースも繊細で美しいものほど響きづらくなる。色よりもラインが出ることを防ぎたい時は、こんな総レースショーツで楽しみたい。ラインを気にするだけなら、ベージュ伝説に囚われる必要はありません」

「パッと見、色が濃いのでは?と思うけれど、それが意外と大間違い。薄い色の方が白浮きして透けたりするもの。この色は血に近いからこそ、肌にすっと馴染む。ショーツはシルエットが出づらいレースヒップハング。ストレッチのきいた総レースだけれど足口はフラットに仕上げてあるので着心地は快適」

「身体のしめつけが少ないノンワイヤー。繊細なレースと締め付けないワイヤーによって身体にめり込んだりせず、下着シルエットが現れづらい。ショーツのバックスタイルはパワーネット。パワーネットによってタイトなボトムスでもシルエットが響かない」

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。