『 THE MOOD 』

#下着再考

ランジェリークを愛用してくれている4人。
彼女たちにとっての「ランジェリーとは?」をお聞きする連載。
Vol.3は、ファッションディレクターの小島令子さん。

Edit & Writing:柿本真希 @makikakimoto
Photo:上原未嗣 @mitsuguu

VOL.30「相反するものを合わせることが私らしいバランス」

小島令子
クリエイティブディレクター
ヴィンテージ・セレクトショップディレクター / デザイナーを経て、 現在ブランドディレクション、ヴィンテージディレクター、コンサルタントなど 多岐にわたって活動中。
@reikokojima

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小島さんが提案する、ランジェリークを主役とした3スタイリング。
何を合わせても、組み合わせても、彼女らしい着こなしとなる、その秘密をお聞きしました。
「下着って思い込まず、洋服と変わらないテンションで捉えれば、スタイリングに自由に取り入れられますよね」そう笑顔で話す彼女の3スタイル。

柿本
「まずこのスタイリングについて教えてください」

小島
「ダメージみたいに見える、スリットがたくさん入ったニットはエッジが効いていると思います。そこにあえてレースを合わせました。ニットのスリットからちょうど美しいレースが覗くバランスもぴったりフィットしていて。シンプルなボディスーツと合わせてもいい気がします。ランジェリークはレースがとても美しいので、下着が見えちゃった…という感じにはならないんです。普通にレースのアイテムとして考えてスタイリングを組みました」

柿本
「小島さんにとっての下着とは?」

小島
「テンションを上げてくれる存在です。誰かの目を意識するというより自己満足の世界に近いのかもしれません。若い頃はお金がないから、人から見えるファッションの方にお金をかけて下着まではなかなか難しい時もありましたが、母から「下着は綺麗なものを身につけていなさいね」と言われていたので、わりと早い時期から下着にお金を使っていたと思います。自分の仕事が軌道に乗ってきて真っ先に下着を買いに行ったことを覚えています。いいと言われているものがなぜいいのか、本当にいいのか、自分はどんな下着が好きなのか、ドメスティックブランドからインポートまで色々着てみました。デザインやシルエットが好きでも実際に身につけたら、身体との相性もあるので、とにかく試着してみていて」

柿本
「その当時、好きだったのはどんな下着でしたか?」

小島
「20代後半から30代前半の頃は特に、下着にとても気持ちが強かったのですが、中でもシャンタル・トーマスは好きでした。フランスのヴィンテージコルセットのようなデザインがあって可愛かったんです。昔からヴィンテージ好きは変わらないので、そういうテイストのアイテムには惹かれます。そうして好きな下着を見つけていくことが、自信みたいなものにも繋がっていきました」

BLUE&GREEN2

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柿本
「このスタイリングについて教えてください」

小島
「スリップはヴィンテージ含め、昔よく着ていました。久しぶりに着てみたらとても新鮮。
レースのスリップはとても女性らしいアイテムだと思うので、メンズライクなワイドパンツを合わせました。メランジ感の強いゆったりとしたモヘアニットを羽織ることで、リラックスした雰囲気もプラスされ、レディライクなスリップとマニッシュなパンツの架け橋に」

柿本
「20代後半から30代前半は下着に対して気持ちが強かったとのことですが、そこから今の40代へとどんな変化がありましたか?」

小島
「その頃は色々試してみたり、自分と下着をすり合わせていく作業のような感じでした。ちょっと背伸びして買った下着が当たり前になっていき、自分に馴染んでいく過程も嬉しくて、それが自信に変わっていったり。その後は気合いの入った下着ばかりでなくてもいいかというモードになって、ハンキーパンキーなども履いてみたり、アメリカブランドのリラックスした下着をつける日もあったり。フランスの高級な下着ばかりに拘らず、もっと自然にその日の気分で選べるようになりました。今はランジェリークが本当にちょうどいい。レースが美しく、着心地がいい。リラックスと見た目どちらも満足できるということが今の気持ちにマッチしています」

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柿本
「このスタイリングについて教えてください」

小島
「ニットのカッティングが深いので、ランジェリーで重ね着感を。少し覗くレースとメッシュがいいアクセントに。肌を見せすぎるとトゥーマッチなので、ヴィンテージのミリタリージャケット、メンズのミリタリーパンツを合わせて女性らしくなりすぎないようにバランスをとりました」

柿本
「下着もデザインや美しいレースを選び、下着と意識しすぎなければ、スタイリングに馴染むんですね」

小島
「それにはレースの美しさは重要かもしれません。見せても恥ずかしいと感じない、レースの本物感。ランジェリークのレースは見せないともったいない!というほど美しいので、スタイリングに迷いはありませんでした。この服を着たいからそれに合う下着を探す、この下着を生かしたいからスタイリングする、その順番はどちらでも良くて、外も中も自分が好きで大切にしたいと思っているものを身につけることが大切なんじゃないかな。いいもの=自分が満足するもの、を身につけていることは、たとえそれが下着だとしても他人に伝わると思うんです。下着は自分に対して愛情があることの表れ。他人の目、流行、思い込みなどからいったん離れて、本当に自分が何が好きな下着をつけていると、自分が満たされると思います」

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。