『 THE MOOD 』

#下着再考

ランジェリークを愛用してくれている4人。
彼女たちにとっての「ランジェリーとは?」をお聞きする連載。
Vol.2はフラワースタイリストの平井かずみさん。



Edit & Writing:柿本真希 @makikakimoto
Photo:八木咲 @yagisaki_

VOL.28「自分で自分の機嫌をよくする。ランジェリーはその術のひとつ」

平井かずみ
フラワースタイリスト
東京を拠点に花の教室「木曜会」や、全国でworkshopを開催。雑誌やCMでのスタイリング、TVやラジオにも出演。
2020年からは「すぐそばにある自然の営みに気づくことで、私たちの感性の森を育む」をテーマに活動する“seed”を立ち上げ、植物の息吹を感じる暮らしを提案している。
@hiraikazumi

下着はかごに入れて収納。「かごが大好きでたくさん持っているのですが、収納によく使っています」

21SS PANTANAL・23SS GENTLE GENTLE・20AW ADRIENNE・19AW MISIA



柿本
「ランジェリークとのお付き合いを教えてください」

平井
「繊細なレースの下着が好きなので、海外ブランドの下着をよく買っていたんです。すごく気に入って買うのですが、結局はあまり着ないことが多くて…。可愛いけれど着心地はピタッとこなかったんですよね。だから国内ブランドを買うのですが、あの繊細なレース感が欲しいなぁ…とそれはそれで物足りなくて。そんな時に「ミス クロエ」に出会いました。海外の繊細なデザインと国内の着心地の良さ、どちらも備わっていたので、すっかり夢中に。それなのに、ある日「ミス クロエ」がなくなったんです…!(涙) 私の下着ライフはどうしようと困っていたところに現れたのが「ランジェリーク」。百貨店の下着売り場を見ていた時に出会いました。その後、この連載で「ミスクロエ」が「ランジェリーク」の前身だったと知って、驚きましたし、私の感性は繋がっていたんだなぁと嬉しくなりました」

柿本
「繊細なレースが好きとのことですが、下着を選ぶ時にこだわるポイントとは?」

平井
「下着=補正と考えたことがないので、ワイヤー無しが基本です。ランジェリークで選ぶのも、透けたレースのワイヤーなし。ランジェリークは本当にレースが繊細で美しい。下着は、見た目、着心地ともに“自分が快適で気分が上がるかどうか”が大切です。下着で身体を補正するのではなく、下着をつけて鏡の前に立つと、これに似合う身体にしたいなと思えたりします。そういう気持ちが自然と湧くことっていいですよね。色や形はその日の気分。シックな服を着ているのに、実は下着はショッキングピンク、など自分だけが分かるギャップをこっそり楽しんだりもしています」

柿本
「どんなタイミングで処分しますか?」

平井
「自分がつけた時に気持ちが全く上がらなくなった時が、替え時だと思っています。お花や他のものでも同じことが言えると思うのですが、見極めのタイミングって何に対しても重要だと思うんです。お花がもったいないという気持ちになって、枯れても飾り続けてしまうことってありませんか? 例えば、いただいた花束の中に1本だけ枯れている花があると全てが枯れたように見えたりするもの。だから枯れてしまった1本は抜いて欲しいとお伝えしています。もちろん枯れた姿が美しいお花もあり、その場合はそのまま楽しむのもまたひとつ。ただ、美しくないと感じるものをもったいないという理由で無理にキープしておく方が花に可哀想だと感じます。だから、潔く「ありがとう」と感謝して終わった方が気持ちいいんじゃないかなぁと。それと同じで、気分が上がらないほどに使い古した下着を、ちょっと違うなぁと感じながら着続けるのは下着に対して申し訳ない気がするんです。もちろん、人の目ではなく自分自身の目で「美しい」と感じていれば、それが着古した下着でも枯れた花でもキープしたらいいと思います。ただ、自分自身が違うと感じたら、「ありがとう」という感謝に変えたい。私も大切にしているものは「ありがとう」と声に出して伝えながら処分しています。そうして循環していくと思っています」

柿本
自分自身が「好き」だと感じるという感覚が、何事においても大事なんですね。

平井
「自分が何を好きなのか、そこが分からなくはなりたくないです。好き嫌いははっきりしている方だと思うので、何かを買う時もあまり迷いません。けれど同時に、自分の「好き」を人に押し付けたいとは思ってはいません。「美しい」と感じる感覚は、人間だけが持っているもの。それなら充分に味わって楽しみたいなと思います」

届いたばかりの「BLUE&GREEN」は、白いワイヤーなしタイプ。撮影当日に飾っていた白い花は「クルクマ」

BLUE & GREEN
Wireless bra #LIVA842 ¥15,400- Porcelain

Standard #LIVH142 ¥11,000- Porcelain

繊細な白いレ―スの下着とシフォンのトップスのレイヤード。

柿本
「今日、どの下着をつけよう?」どんな基準で選びますか?

平井
「自分で自分のご機嫌を良くすること、それを心がけています。1日のスタートに自分をご機嫌にしてくれるのが、下着、お花、香り、石、お茶などの存在。人にご機嫌にしてもらうことを期待するのではなく、自分自身で自分のご機嫌をとること。私は朝にお風呂を溜めて、その時の気分で香りをブレンドしてお風呂に垂らします。その日の気分で香りを選び、ゆっくりお風呂に入るだけで1日のスタートがだいぶ変わります。また、選んだ香りで今の状態がよく分かるんです。自分の身体や心のコンディションを自覚することは、とても大切なことだと思っています」

柿本
自分で自分をご機嫌にする、香りの選び方を教えてください。

平井
「その日の気分でパズルのようにミックスするのでルールはありませんが、例えばイランイランとフランキンセンスは女子力が上がる気がします。爽やかな気分になりたい時は、ベルガモット。具合があまり良くないなぁという時は、ラヴィンツァラ、ティートゥリー。その時の気分でミックスしています。時間に余裕がない時は、すでにミックスされた精油を選ぶことも。SHIORIでもおすすめしている「SOJYU」なら、華やぎたい時に選ぶのが「HANAYAGI」、自分自身を満たしたい時は「MICHIRU」、人混みなどに行く時にバリアしてくれるのは「TAIKAN」などを選びます。精油は全て植物の力なので、自分が伝える意味があるかなぁと思い、「seed」という取り組みの中でヒーリングスプレーなども作っているんです。この「peace」は、島根県で採れたよもぎによって作られた蒸留水にネロリやダークレモンなどの柑橘を入れてフラワーエッセンスを加えました。香りで気分を上げて自分をご機嫌にするのは、気軽で効果的なのでおすすめです。下着も香りと同じ。朝に気分で選び、それだけで1日が変わる。自分で自分をご機嫌にするために、好きなものをその時の感覚に忠実に選んでいきたいと思っています」

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。