『 THE MOOD 』

#下着再考

最も肌に近い場所に、毎日必ず身につける存在である下着。
その日に何を身につけるか、それ次第で気持ちはぐっと変化するもの。
誰にも知られず、こっそりと自分ひとりで。
世の中の幻みたいな定説ではなく、他人の目でもなく、
自分が何を心地よいのか、どんなものに心がときめくのか、
もう1度自問してみると、その日にどんな下着を身につけたいのか分かるはず。
ジュエリーのように気持ちが上がり、お守りのように気持ちが強く安らかになる。
下着がそんな存在でありますように。

Direction / Edit / Text : Maki Kakimoto

VOL.14「 思い込みみたいな自分ルール」

THE MOOD VOL.14

「 思い込みみたいな自分ルール 」

ランジェリークのお仕事をするようになり、ランジェリーについて話す機会が圧倒的に増えた。 それによって知ったのは、ワイヤーありとなしで好みがハッキリと分かれるということ。
私はワイヤーを重視したことはなく、選ぶときはデザイン重視。そういう人は意外と少ない様子。
ワイヤー入りが好きな人は、華奢なデザインは諦めがち。
「オールレースなどの華奢なデザインもつけてみると気分が上がるよ」と伝えてみる。
ワイヤーなしが好きな人は、機能性を諦めがち。
「毎日ワイヤーなしだと背中にお肉が流れて、胸がなくなり背中が分厚くなる可能性が高いよ」と伝えてみる。
どっちにも良さがあり、どっちにもマイナスはあるということ。
そんなことは当たり前の話で、何に置き換えても言えることだけれど、どちらも満足できて諦めることがないものがあれば、もちろんそれが嬉しい。
レースの華奢なデザインであり、ワイヤーがなくて苦しくない。けれど肉を胸の位置から背中へ流さないという機能性も備えたデザイン。
そんないいとこどりのものも実はあるんですとランジェリークの方に教えてもらったのがこの1着。
早速試してみると、たしかにそうだという体感もあり嬉しくなる。
この1着が、ワイヤー入り無しどちらかに決めている人の思い込みみたいなルールを、はみ出してみるキッカケになるといいなと思います。こうあるべきという自分の中の思い込みルールを少し広げられるだけで、大袈裟ではなく今までとは違う世界が見えてくるはず。

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。