『 THE MOOD 』

#下着再考

最も肌に近い場所に、毎日必ず身につける存在である下着。
その日に何を身につけるか、それ次第で気持ちはぐっと変化するもの。
誰にも知られず、こっそりと自分ひとりで。
世の中の幻みたいな定説ではなく、他人の目でもなく、
自分が何を心地よいのか、どんなものに心がときめくのか、
もう1度自問してみると、その日にどんな下着を身につけたいのか分かるはず。
ジュエリーのように気持ちが上がり、お守りのように気持ちが強く安らかになる。
下着がそんな存在でありますように。

Direction / Edit / Text : Maki Kakimoto

VOL.13

THE MOOD VOL.13

歳を重ねるごとに「品」について考える機会が増えた。 品良く生きていきたいと強く強く思うのだけれど、それはお行儀の良さとはまた違うもの。 品について思いを巡らせるとき、例えば品の良さを色に例えるならネイビーだなと思う。 ネイビーを着るとちょっとだけ所作が変わるし気持ちがしゃきっとする。清らかでいなければ、というような。特別な色。 そして、こんな素敵な人になりたいなぁと心底思える人に会った時「なぜこの人は素敵な んだろう」「どこに惹かれるんだろう」「私にない部分はどこ?」など考えながらじっくりと観察してしまうのだけれど、惹かれる人はいつも品が良い(と私が感じる)人。 4、50代になると品という部分が顕著に現れがちで、それは総合的に積み重なってきたものなんだなと思う。所作、話し方、言葉遣い、考え方、艶感、肌、髪、身体、服装、清潔感などなど全てに滲み出ていく。一事が万事。恐ろしい... 1 番大切なのは、汚い心を持たないことなのではないかなという私なりの現段階での結論。 人を陥れるとか、意地悪や悪意をいかに持たず、自分のことを粛々と本気でやること。
「プライド」という一条ゆかりの漫画でも、「泣いてもケンカしても傷ついても、品性だけは悪くなっちゃだめよ。いいわね、人を落とすんじゃなくて自分が上がるのよ」という台詞が出てくるのですが、まさに。 椅子の上に足はあげるし、忘れ物も多く、子育て家事仕事と毎日ドタバタとしているゆえ に、品とは遠ざかった暮らしをしているなぁと自覚はしているけれど、そんな中でも常に品について意識して考えて葛藤しながらいきたいものです。

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。