『 THE MOOD 』

#下着再考

ランジェリークを愛用してくれている4人。
彼女たちにとっての「ランジェリーとは?」をお聞きする連載。
Vol.4は、インテリアスタイリストの石井佳苗さん。

Edit & Writing:柿本真希 @makikakimoto
Photo:上原未嗣 @mistuguuu

VOL.31 「インテリアとランジェリーはとても近い存在」

石井佳苗
インテリアスタイリスト
東京都生まれ。インテリアスタイリスト。
Cassina-IXCに10年勤務後独立。 雑誌、広告、CMカタログ等、インテリアを中心にライフスタイル全般の提案やスタイリングを中心にショップディスプレイ、モデルハウスや商品開発等幅広く活躍。 また、スタイリストならではのセンス溢れる自宅や、アトリエのセルフリノベーション、DIYのライフスタイルも注目されている。 2017年より不定期に、自身プロデュースのPOP UP SHOPの開催や、2020年にはオンラインレッスン【Heima Home Design Lesson】をスタートさせ、幅広い年代に様々な角度から、インテリアを通して『自分らしく暮らす』をテーマに活動の幅を広げている。Instagram @kanaeishii_lc

柿本
「ランジェリークとのお付き合いを教えてください」

石井
「前身の「ミス クロエ」の時からずっと好きでした。素材としてレースが特別好きというわけではなかったのですが、「ミス クロエ」のレースは品がよく、こってりしていない感じで、これならつけてみたいなと思うデザインだったんです。出会えてよかったなぁと思っていた矢先、「ミス クロエ」がなくなってしまい、すごくショックで…。その時に新しいブランドとして「ランジェリーク」を教えていただきました。実際に見てみるとすごく良くて、むしろ「ミス クロエ」より好きかもしれないと思ったのを覚えています。それまではそこまで下着に強い興味はなかったのですが、カタログを拝見したり、シーズンごとにお店に足を運んで新作を見たりすることがとても楽しくて。心から気にいるものに出会えないと難民になってしまい、まぁシンプルなものでいいかなとこだわりが薄くなったかもしれない。好きなブランドに出会えて本当に良かったと思っています」


柿本
「石井さんが下着に求めるもの、こだわりとは?」

石井
「見た瞬間に好きだと感じる、素材感やデザイン。そしてつけ心地です。「ミス クロエ」よりも更に「ランジェリーク」に好きだと感じたのは、付け心地が更に良かったからだと思います。日本人に合わせて作られているからこそ、つけていて心地よい。ある日からワイヤー入りは選ばなくなったのですが、ワイヤーがなくても「ランジェリーク」はきちんとホールドしてくれるんです。1つのシリーズに、ノンワイヤー、パッド入りノンワイヤー、ワイヤーとバリエーションが豊富なところは本当に嬉しいポイント。デザインは、ダブルストラップが特に好きです。基本的に透けたくないのですが、薄着の時に少しだけ透けてもダブルストラップは下着感が薄いので助かります。また、「ランジェリーク」は肌との境界線にあたるカップのエッジ部分のレースがとても繊細で、手にとって眺めてうっとりしてしまうほどです」

「下着はキコで買ったケースに収納しています。大小で買いました。引っかかりのあるカゴは使い勝手が悪いのですが、軽くて柔らかいこのケースはピッタリ。引き出しだと奥まで眺めづらいですが、これなら蓋を開ければ見やすく、眺めているだけで可愛いなぁと嬉しくなります」

柿本
「長年愛用していると、好きな色なども決まってきますか?」

石井
「仕事で気合を入れたい時は赤をつけることが多いです。験担ぎの意味もありますが、気分がシャキッとして気合いが入るので。友達との食事や旅行など、仕事ではなくリラックスした特別な日もブラウンやオレンジなどの暖色系のグラデーションが多いかもしれません。基本的に白シャツが多いので、透けないことを意識して選ぶと、透けづらい赤系グラデーションが増えました。透けたり見せたりということは自分的にキャラクターに合わないですし、歳を重ねるとセクシーさは時に人に不快に見えると思うので気をつけています。年越しや新年などもそうでしたが、神社参拝の時に限っては白い下着が良いと聞き、選ぶようにしています」

柿本
「下着に限らずかもしれませんが、物を購入する時は直感でしょうか?」

石井
「そうですね。いろいろ買ってみてきて、違うなという物ももちろんありました。年齢を重ねる=経験を重ねることで、後に後悔しない物を選ぶ直感が鋭く働くようになった気がしています。好きだなと思ったものが、後々違うということはほとんどなくなりました。物はちょっと可愛げのあるものが好きです。それに反して、洋服はシンプルなものが好き。シンプルな服を着ていると、自分らしく感じて心地よいんです。毎日同じデザインのニットを着ていても大丈夫なくらいですが、下着はその時のシチュエーションに合わせて遊びたい。下着で気分がぐっと変化するので、やはり内面を表現するアイテムだと思っています」

「このキャビネットの中は、シルバー、ステンレス、鉄や銅などが置かれています」

「本棚の上はブラウンからオレンジ、レッド系の物を。質感または色を統一するようにするとたくさんものを置いても自然とまとまります」

「このスペースは白いトーンに。壁が白なので白系の同系色でまとめると、ごちゃごちゃとした感じが出づらくすっきりとまとまります」

柿本
「服のデザインを毎日変えて、下着は毎日同じようなデザインという人の方が多い気がします。逆なんですね!」

石井
「下着はその日の気分で選ぶので、内面を表現する存在。インテリアととても近い存在だと思っています。インテリアも、自分の家であるからこそ自分自身が満足できるものを選びますよね。人の目より、自分が好きかどうか、心地よくいられるかどうかが重要。デザインなどの目に見える部分と、使いながら感じる目に見えない感覚的な部分の両方がセットであり、どちらも満たされた時に豊かな気持ちになれるんだと思っています。そうして自分がどんな部分を好きだと感じて心地よいかを突き詰めていくという点で、下着とインテリアはとても近い存在じゃないかなぁと。また、私は使っていくことで育っていき、味わいを感じられるものが好き。「ランジェリーク」の下着は使っていくうちにどんどん馴染んでいき、その味わいを感じながら長く大切にしたいなと感じさせてくれます」

柿本
「下着とインテリアが近い存在。人の目ではなく、自分自身の好きだというポイントと心地よいと感じる感覚を大切に選んでいく存在なので、本当にその通りだと思います」

石井
「ランジェリーク」に出会えたらからそう思えるようになったのかもしれません。10年以上同じブランドを気に入るって意外と珍しいこと。お洋服だとどうしても年齢によって似合わなくなったりしますし。ずっとこれでいいと思えて、毎シーズンわくわくと楽しめるというブランドに出会えたからこそ、インテリアと同じように下着を楽しめているんだと思います。毎シーズンわくわくしながら欲しいものがありますし、今まで着てきた下着も大切に長く着続けたい。みんないつ処分をするんだろう?!と、それだけが疑問です(笑)」

柿本真希 | Maki Kakimoto
エディター・ライター・ディレクター
編集、ライター。衣食住子と幅広く編集・原稿・連載・インタビューを担当。
2年間のアシスタント期を経て2001年独立。2012年からニュージーランドにて母子留学を2年半。
2014年秋に帰国後、編集・ライターに加え、ディレクション・キャスティングなど多岐にわたって活動中。